モノのインターネット (IoT) 06-08-2023

電気自動車の充電時におけるデジタルトラストの促進

Alex Deo
Driving Digital Trust in Electric Vehicle Charging

エアバッグが自動車の乗員を保護するのと同様、充電時において電気自動車(EV)と充電者を保護する上でデジタルトラストは重要な役割を果たします。電気自動車の普及が進む中、充電プロセスにおけるデジタルトラストの重要性は無視できなくなっています。従来の燃焼車両ではガソリンポンプとの物理的なインタラクションのみが必要でしたが、電気自動車の登場により、EV と電気自動車給電装置(EVSE)の間で安全なデータ交換を行うためのデジタルトラストの実装が必要になりました。EVSE は持続可能な輸送には不可欠な要素ながら、サイバーセキュリティのリスクにさらされやすいため、強力な保護対策を必要とします。

十分なセキュリティ対策が講じられていないと、EVSE は次のような脆弱性にさらされます。

  • 運用の中断:ハッカーは充電インフラに支障を与えて EVSE を使用不能にし、EV 所有者に不便をかけてしまうおそれがあります。これは輸送システムに重大な影響を与え、e モビリティの導入を妨げかねません。
  • データ侵害と危殆化:充電ステーションのセキュリティ侵害は、顧客支払い情報といった機密データの盗難または侵害につながるおそれがあります。このようなデータは金融詐欺、身元情報の盗難、およびその他の悪意を持った目的で使用されることがあり、EV ユーザーと充電インフラプロバイダの間の信頼関係を損ないます。
  • 評判の不信:セキュリティ侵害は EV 充電インフラプロバイダの評判を低下させ、顧客の信頼をなくす結果になります。これは、電気自動車の導入と成功に長期にわたる悪影響をもたらします。

セキュリティ対策が脆弱で、EV 充電ステーションにおいてデジタルトラストのベストプラクティスが実施されていないと、次の深刻な結果が生じる可能性があります。

  • ユーザーの不便および不満の発生:セキュリティが不十分な充電ステーションは頻繁な中断や故障を起こすことがあり、それに依存する EV 所有者に不便をかけます。これによりユーザーの間で不満が起き、EV 市場の成長を阻害しかねません。
  • 金銭的な損失と責任の発生:データ侵害と流出した支払い情報によって、EV 所有者と充電ステーションの運営者の双方が金銭的な被害に遭う可能性があります。さらに、不十分なセキュリティ対策により、充電ステーションの運営者が法的および規制上の責任を問われることがあります。
  • EV 市場の成長の妨げ:充電インフラのセキュリティに信頼がないと、EV の潜在的な顧客は e モビリティの導入をためらうかもしれません。セキュリティに対する信頼を醸成させ、EV が広く導入されるよう推進していくには強固なデジタルトラストの実装が不可欠です。

デジタルトラストを実装する上で EV/EVSE が直面する課題

EV 充電ステーションにおいてデジタルトラストの DIY アプローチを取ると、時間とコストの面でかなりの課題が生じます。信頼性の高いセキュアな認証システムをインストールするには時間がかかり、複数の関係者との調整が必要になります。また、堅牢なサイバーセキュリティ対策およびインフラストラクチャアップグレードへの先行投資や、継続的なメンテナンスとアップデートなど、充電ステーションの完全性や信頼性を確保するには、かなりのコストがかかる可能性があります。

EVSE エコシステムのセキュリティを確保する上での多くの課題に対応するために、デジサートは SAE (Society of Automobile Engineers)の協力のもと、ISO 15118 基準のサポートを DigiCert® IoT Trust Manager に組み込みました、ISO 15118 標準をサポートする IoT Trust Manager は、EV 充電ステーションの包括的なセキュリティソリューションを備えており、EVSE プロバイダがデジタルトラストを実装する上でのハードルを下げます。

EV/EVSE がデジタルトラストを強化するにあたり果たした IoT Trust Manager の役割

IoT Trust Manager は、証明書管理を提供することにより EV 充電ステーションを保護します。これにより安全なプラグアンドチャージ機能が実現されることで、EV 充電インフラの信頼性が確保されます。

IoT Trust Manager は、EV 充電ステーションにデジタルトラストをもたらすと同時に、下記も実現します。

  • セキュリティとスケーラビリティ:IoT Trust Manager は、EV および EVSE を安全に認証し、潜在的なサイバー脅威から保護します。簡単にスケーリングでき、セキュリティを危殆化させずに市場投入までの時間を短縮します。
  • 柔軟性および展開の効率性:ソリューションは、グローバルインフラストラクチャを介した証明書の迅速かつ柔軟なプロビジョニングと展開を可能にします。あらゆる証明書タイプがサポートされるため、実装をシームレスに行えます。
  • 将来性のあるセキュリティおよび互換性:IoT Trust Manager は国際基準に準拠しているため、EV テクノロジーとインフラストラクチャの将来の展開にも対応できる互換性があります。将来性のあるセキュリティであるために、充電ステーションはサイバーセキュリティ脅威の先を行く対策を講じることができます。

クリーン輸送の将来:デジサートでのデジタルトラストの構築

デジタルトラストの世界的なリーダーであるデジサートは、EV 充電プロセスのセキュリティの信頼性を確保します。デジタルトラストは、EV 充電ステーションの運用において不可欠な要素です。DigiCert IoT Trust Manager を使用して堅牢なセキュリティ対策を講じることで、EVSE を脆弱性から保護し、運用中断を防ぎつつ、顧客データの安全を守ることができます。また、EV ユーザーからの信頼を築くこともできます。デジタルトラストの強化は、個々の充電ステーションの成功のためだけでなく、e モビリティが広く受け入れられるために欠かせません。セキュアでスケーラブルなソリューションによって、クリーン輸送の未来が開かれてゆきます。これが現実世界におけるデジタルトラストです。

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