Dilithium

電子署名のための耐量子コンピューター暗号ソリューション


CRYSTALS-Dilithium とは

Dilithium は、量子コンピュータの脅威からデータを保護する、格子ベースの電子署名スキームです。CRYSTALS(Cryptographic Suite for Algebraic Lattices)ファミリーの耐量子コンピューター暗号(PQC)アルゴリズムに基づいており、選択メッセージ攻撃の防御に特に適しています。

Dilithium はモジュール格子より難度の高い格子問題を原理としているので、ハッシュベースのスキームより大幅に高速であり、ガウスサンプリングを必要としないため実装も容易です。

Dilithium のベースになっている Fiat-Shamir with Aborts

Dilithium の基盤として動作しているのが、格子スキームのために Lyubashevsky が考案した Fiat-Shamir with Aborts です。ループの反復が中止されないことを確認するまで実行を繰り返します。このプロトコルを使用すると、公開鍵が大幅に小さくなるため、エネルギー消費を抑えながら、高いセキュリティのまま効率化を図ることができます。

Dilithium の種類

他の PQC 署名スキームとは違い、最新バージョンの Dilithium は SHAKE ではなく AES-256 を使用します。そのため行列とベクトル生成が拡張されます。AES-256 は、秘密の多項式のサンプリングにも利用されます。

Dilithium には以下の種類があります。

pqc_dilithium_blade_4_2

Dilithium2-AES

pqc_dilithium_blade_4_3

Dilithium3-AES

pqc_dilithium_blade_4_5

Dilithium5-AES

Dilithium の考案者は Dilithium 3-AES を推奨しています。従来の攻撃と量子コンピュータ攻撃のどちらに対しても、128 ビット以上のセキュリティを達成できるからです。

NIST による承認

2016 年、米国商務省標準化技術研究所(NIST)が提案を公募し、耐量子コンピューター暗号スキームの提出を要請しました。ラウンド 1 の公募締め切りだった 2017 年 11 月 30 日までに、数十の手法が提案され、検討されました。

CRYSTALS-Dilithium は、PQC に向けて承認された標準として NIST が推奨した 4 つの手法のひとつであり、電子署名用として推奨されたなかでは、わずか 3 つのうちのひとつです。