次世代緊急通報（NG9-1-1）システムは、緊急通信インフラに大変革をもたらし、より効率的、効果的な緊急対応を可能にします。しかし、Public Safety Answering Points（公共緊急通報受付機関：PSAP）が NG9-1-1 に移行するのに合わせて、機密情報の保護、システムの完全性の確保、国民の信頼の維持のため、堅牢なセキュリティ対策を優先的に進めることが不可欠となっています。

デジタルトラストをおろそかにした場合の潜在的リスクと結果について触れたいと思います。DigiCert^® IoT Trust Manager が NG9-1-1 システムの強化に向けてもたらすことができるメリットをご紹介します。

適切なセキュリティ対策を講じない場合に NG9-1-1 システムに生じる潜在的リスク

適切なセキュリティ対策を講じない場合、NG9-1-1 システムは中断、データ侵害、評判失墜のリスクにさらされ、中でも、命が危険にさらされることが懸念されます。

• 運用の中断：適切なセキュリティ対策を講じない場合、NG9-1-1 システムは緊急通信インフラに混乱を生じさせうるハッカーに対して脆弱となり、重大な状況で利用不能に陥る可能性があります。こうした混乱が緊急対応能力に重大な影響を及ぼし、命が危険にさらされ、国民の安全が損なわれる恐れがあります。
• データ侵害と危殆化：セキュリティが不十分な場合、NG9-1-1 システムを通して送信される機密情報が窃取、危殆化される恐れがあります。この情報には通報者、緊急対応要員、その他緊急対応プロセスに関わるエンティティの個人データが含まれます。このようなデータが悪用されると、なりすまし、金融詐欺、機密情報の不正使用など、重大な結果を招く恐れがあります。
• 評判の失墜：セキュリティ侵害は NG9-1-1 システムの信頼性と機密性に対する国民の信頼を損なう恐れがあります。人々が緊急通信インフラへの信頼を失うと、緊急時に速やかに通報することをためらったり、緊急対応の有効性を信頼できなくなったりして、命と安全が脅かされる可能性があります。

   

PSAP がデジタルトラストをおろそかにした場合に生じる結果

PSAP がデジタルトラストをおろそかにした場合、緊急対応が不十分となり、法的責任を問われ、国民の信頼を失い、最終的に、国民が緊急通報する可能性が低下する恐れがあります。

• 不十分な緊急対応：デジタルトラストが不十分な場合、NG9-1-1 システムの信頼性低下と機能障害につながり、PSAP が的確な緊急支援をタイムリーに提供する能力が阻害される可能性があります。信頼の欠如は緊急対応業務の遅れ、伝達ミス、有効性の低下を招きます。
• 法規制上の責任 デジタルトラストをおろそかにすると、PSAP は法規制上の責任を問われます。セキュリティ侵害や機密情報保護の不履行があった場合、PSAP は罰則や損害賠償請求など法的な影響を受ける可能性があります。NENA などの団体が定める NG9-1-1 の基準と要件を遵守することは、こうしたリスクを軽減するために不可欠です。
• 国民の信頼の低下 デジタルトラストを取り入れなければ、NG9-1-1 システムの信頼性とセキュリティに対する国民の信用が失われる可能性があります。こうした信頼の喪失は広範囲に影響を及ぼし、国民の協力の減少や緊急通報への抵抗感、緊急対応の遅延につながる恐れがあります。

PSAP のデジタルトラスト確立の課題

PSAP のデジタルトラスト確立には、独自の一連の課題が伴います。主な障害の 1 つは、実装プロセスそのものです。デジタルトラスト確立に自力で（DIY で）取り組む場合は、時間がかかり、複雑な作業となる可能性があります。PSAP はセキュアで信頼性の高い認証システムをインストールする必要があり、多くの場合、さまざまなステークホルダー間の調整業務が伴います。

さらに、システムの完全性と信頼性を確保するために、堅牢なサイバーセキュリティ対策とインフラのアップグレードへの多額の先行投資が必要となります。こうした投資は PSAP にとって経済的負担となります。初期セットアップと、進化するセキュリティ標準に対応するための継続的なメンテナンスと更新にリソースを割り当てる必要があるからです。

DigiCert IoT Trust Manager は PSAP のデジタルトラスト確立にどのように役立つか

DigiCert IoT Trust Manager は、NG9-1-1 システムのセキュリティと認証能力を強化する幅広い機能を備えており、PSAP が最新の緊急サービスへの需要の高まりに対処するのに役立ちます。

IoT Trust Manager は次の方法でデジタルトラストを確立します。

• NG9-1-1 コンプライアンス：NENA などの団体が定める NG9-1-1 の基準および要件に適合します。このソリューションを実装することで、PSAP は必要なコンプライアンス基準を満たし、NG9-1-1 エコシステム内での相互運用性とシームレスな通信を促進できます。
• 証明書管理 電子証明書の発行とライフサイクルを管理し、PSAP と、NG9-1-1 通信に関与するその他のエンティティのアイデンティティを確立、検証します。この機能は、NG9-1-1 システム内でやり取りされるデータの真正性、完全性、機密性を確保し、不正アクセスや改ざんのリスクを軽減します。
• グローバルな失効：IoT Trust Manager は、証明書失効リスト（CRL）とOCSP（Online Certificate Status Protocol）をサポートしているため、危殆化された証明書や期限切れの証明書を速やかに失効できます。この機能により、NG9-1-1 システムの継続的な完全性とセキュリティが確保され、脆弱性が狙われる機会が最小限に抑えられます。
• PKI インフラストラクチャ：デジサートのスケーラブルな公開鍵基盤（PKI）は、シングルルートとマルチルートの両方のアーキテクチャをサポートしており、NG9-1-1 システムのデータ量の増加と要件の進化に対応できます。この堅牢なインフラにより、電子証明書を使用したセキュアな通信が確保され、信頼と認証の強固な基盤が提供されます。

DigiCert IoT Trust Manager は NG9-1-1 システムでどのようにデジタルトラストを確立するか

DigiCert IoT Trust Manager は、セキュアで信頼性の高い通信能力を確保する高度な証明書管理機能を備えており、NG9-1-1 システム内のデジタルトラストの強化において重要な役割を果たします。

DigiCert IoT Trust Manager は NG9-1-1 システムに次のようなメリットをもたらします。

• セキュリティとスケーラビリティ：IoT Trust Manager は、NG9-1-1 システムのセキュリティ体制を強化し、潜在的なサイバー脅威からシステムを保護します。セキュアな認証と不正アクセス防御により、緊急通信の機密性と完全性が確保されます。IoT Trust Manager のスケーラビリティにより、PSAP は需要の高まりに対応し、データ量の増加に効果的に対処できます。
• 信頼: デジサートはデジタルセキュリティ分野で定評を持つため、IoT Trust Manager は NG9-1-1 システムのセキュリティに信用をもたらすことができます。この信用は、緊急サービスに対する国民の信頼を維持し、緊急時に速やかに通報するために不可欠です。
• 柔軟性：IoT Trust Manager は、グローバルインフラストラクチャを介した証明書の迅速かつ柔軟なプロビジョニングと展開を可能にします。IoT Trust Manager は、NG9-1-1 システムで必要とされるあらゆる種類の証明書をサポートしており、PSAP でのシームレスな実装プロセスが実現します。
• 将来への対応力：IoT Trust Manager は国際標準に準拠しているため、NG9-1-1 のテクノロジーとインフラストラクチャの将来の展開に対応できる互換性があります。PSAP は、進化するサイバーセキュリティの脅威の一歩先を行き、セキュリティやシステムの完全性を犠牲にせずに、緊急通信の進歩を取り入れることができます。

DigiCert IoT Trust Manager を使用すると、PSAP は通信のデジタルトラストを確保し、NG9-1-1 システムの安全検証能力を拡大し、本物の緊急通信を実現できます。PSAP は、防御を強化することにより、機密情報を保護し、国民に信頼されるホットラインを維持し、最先端の緊急サービスのニーズの変化に対応できます。PSAP がセキュアで信頼性の高い緊急通信を推進すること — それこそが現実世界におけるデジタルトラストです。

デバイストラストのためのデジサートのソリューションの詳細については、https://www.digicert.com/jp/iot-trust-manager をご覧ください。