証明書管理 11-19-2024

証明書管理の自動化が必須である理由

Timothy Hollebeek
Beyond Certificates Blog Hero Image

サイバーセキュリティ業界では、TLS/SSL 証明書の有効期間を短縮することに関して盛んに議論が交わされています。ごく最近も Apple が、2027 年までに最大有効期間を 398 日からわずか 45 日に短縮することを提案しました。

証明書の有効期間を短縮する目的は自動化を促すことで、それを推進しているのは Apple だけではありません。Google は 2023 年のはじめに証明書の有効期間を 90 日とするよう提案しており、デジサートもこれを全面的に支持しています。

とはいえ、有効期間の短縮は脆弱性を低減するうえで重要な役割を果たすものの、具体的な更新間隔に関する議論に焦点を当てるのは、賢明な対話とはいえません。真に優先すべきなのは、証明書管理の合理化と自動化であって、これはどの組織でも遅らせることのできない対応です。

証明書の有効期間の短縮が重要な理由

証明書の有効期間を短縮すると、暗号鍵のローテーション頻度が高くなり、セキュリティの向上を図ることができます。そのため、危殆化した証明書の露出が制限され、長期的な脆弱性のリスクも最小限に抑えることができるのです。証明書の有効期間を短縮すると、危殆化した証明書を攻撃者が悪用できる期間も短くなるため、安全な通信に対する全体的な信頼性が向上します。

証明書の有効期間をわずか 45 日に短縮するという Apple の直近の提案も、業界全体が段階的に有効期間の短縮に向かうという流れに沿ったものであり、こうした原則にのっとっています。しかし、有効期間の短縮には課題もつきものです。手作業による証明書管理に今でも依存している組織では、更新頻度が増えることによって、以下のような問題が生じる可能性があります。

  • 運用上のオーバーヘッドが増える: 管理しなければならない証明書の有効期間が短くなれば、IT チームでは更新の頻度が上がるため、手作業のプロセスに必要な時間とリソースが増えることになります。
  • 期限切れ証明書に伴うリスクが増える: 更新の頻度が上がると、期限切れに気づかない可能性も高くなり、証明書の期限切れが発生する可能性があります。証明書の期限が切れれば、ウェブサイトの停止、サービスの中断、顧客の信頼の喪失につながりかねません。
  • 多様なシステム間で複雑さが生じる: オンプレミスサーバー、クラウドプラットフォーム、IoT デバイス、エッジネットワークなど、ハイブリッド環境の全体にわたって証明書を管理している組織も少なくありません。証明書の有効期間が短くなると、あらゆる証明書の可視性と管理を維持するのはさらに難しくなります。
  • コンプライアンスとセキュリティに関するプレッシャー: 期限切れ証明書は、業務の中断を招くだけでなく、規制コンプライアンスへの違反にもつながり、セキュリティ要件が厳しい業界ではリスクがいっそう高くなります。

自動化された証明書管理のソリューションをもたない組織の場合、以上のような課題が IT チームにとってたちまち負担となり、ボトルネックが生じてセキュリティ上の不備が発生する可能性も高くなります。

automated certificate management solution

証明書の自動化が必須である理由

管理ツールの問題に対処しないまま証明書の有効期間だけを取り上げていると、ひとつの問題を解決することで別の問題が生じるリスクがあります。有効期間が短くなった証明書が有効に機能するのは、更新プロセスを合理化して人的エラーのリスクを排除できる包括的な自動化システムと組み合わせた場合だけです。

自動化すれば、TLS/SSL 証明書の更新は毎回必ず期限内に実施できます。IT チームの管理負担も軽減され、期限切れ証明書による予定外のサービス停止を防ぐことができます。また、証明書の一元管理が可能になるため、組織はデジタル資産を完全に可視化して管理できるようになります。

どんな組織でも証明書の自動管理を優先すべき理由を、以下に列挙します。

  • 期限切れ証明書のリスクを最小限に抑えられる: 自動化することで、証明書は有効期間が切れる前に確実に更新されるため、サービス停止やセキュリティ脆弱性といったリスクを排除できます。
  • 管理コストが削減される: 日常業務を自動化することで、IT チームは時間ばかりかかる手作業の更新に追われずに済むため、戦略的な優先事項に集中できます。
  • ネットワークの拡大に応じて拡張できる: 自動化によって、IoT デバイス、クラウドサービス、マルチドメイン環境といった複雑なインフラストラクチャ全体にわたって証明書の管理が簡素化されます。
  • 予防的なセキュリティ: システムの自動化で、問題をリアルタイムで検出して対処できるようになるため、脆弱性や設定ミスによる潜在的な影響が低減します。

要するに、証明書の自動管理をすでに採用している組織は、Apple が提案した有効期間 45 日という TLS/SSL 証明書ポリシーの将来的な変更にも備えることができるのです。

デジサートで組織の将来に備える

企業にとって、デジタルトラストの管理とは、単にコンプライアンスのタイムラインを満たすことだけにとどまりせん。組織の成長と複雑さに対応できるセキュリティ基盤を構築することなのです。

デジサートは、一時的なコンプライアンスのトレンドを超えたデジタルトラストのイノベーションに専念しています。Digicert Trust Lifecycle Manager などのソリューションを優先し、組織が証明書を効率的に、安全に管理できるよう支援します。また、現実世界のニーズに対応する実用的な実装に重点的に取り組んでいます。

有効期間の短い証明書への移行については、負担ではなく、自動化を採用して証明書管理を簡素化するチャンスととらえるべきです。証明書のライフサイクル管理を自動化できれば、人的エラーを軽減してコストも削減し、IT リソースを解放して、チームがもっと戦略色の強いセキュリティ構想に集中できるようになります。しかも、今すでに証明書管理に自動化システムを導入している組織であれば、証明書ポリシーや標準が将来的に変更されても、それに確実に備えることができます。証明書の有効期間が今後どれだけ短くなっても、常に時代の先を行くことができるのです。

デジタルトラストに関する最新情報

自動化証明書管理デジタルトラストなどのトピックについて詳しくお知りになりたい場合、記事を見逃さないようにデジサートのブログを参照してください。

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